脳脊髄液減少症について(4)問題点
診断・治療について、話を進めてきましたが、これらは脳脊髄液減少症を積極的に考える先生の主張を前提としています。必ずしも医学界の定説には至っていません。
消極論の立場では、特に、明確な診断基準がないことから診断が困難であるといわれてます。治療後の改善例は10~20%にすぎないという意見もあります。
交通事故との関連では、頸部の運動と腰部の髄液の漏れとの関係が説明困難、髄液が漏れるほどの衝撃であれば、脊髄損傷が生じてもおかしくないのではないか、なぜ髄液の漏出が続くのかの説明が不明確などの消極的な意見もあります。
このような医学界の状況が、被害者の救済を困難なものとしています。
裁判所・保険会社は、交通事故との因果関係は不明として、消極的判断をします。
国は、病気であると認定しないため、保険により診療を受けることはできません。
ブラッドパッチ療法では、一般に1回の治療費は30万から50万といわれ、1回の入院が4日から1週間程度、3か月位の間隔をおいて平均3回以上治療を繰り返す必要があるとされています。治療費の問題は、被害者に重くのしかかります。
加えて、この療法自体の理解が進んでいないため、実施している病院も限定され、治療が順番待ちの状態であるとの声もあります。
世間から、この病気が認知されていないことから、外見上は健康体にみえるので「怠けている」という中傷を浴びせられたとの被害者の声もあります。
このようにみてきますと、医学界としてこの病気の認識は現状はいったいどうなのか、被害者の治療の選択肢たりうるのかはっきりさせることが、問題解決の起点といえそうです。そこから損害賠償の問題、治療費の問題、社会的認知の問題などに影響が及んでいるといえます。
そこで、全国各地で、患者団体が明確な審査基準の策定を求め、署名活動などを行っています。
都道府県議会では、研究推進の意見書を採択し、一部の県で治療に積極的な病院をHPで公開しているところもあります。
政府は、今年7月脳脊髄液減少症の研究班を発足させ、9月から研究もスタートし、その結果は3年でまとめるということです(2007年7月20日 読売新聞)。
交通事故では、整形外科にはじまり、原因不明の痛み・めまい・耳鳴り・頭痛等に悩まされ、脳神経外科・麻酔科、最終的には心療内科や精神科へというようにたらいまわし?にあう被害者も多いとの現実があります。できるだけ早い結果報告がのぞまれます。(ひとまず了)
脳脊髄液減少症の問題については、今後もブログで触れていく予定です。
◆2008年2月17日補足
昨年9月に研究がスタートしていますが、研究班の活動はこれまで会合を開催するにとどまり、実践的な研究に取りかかる様子は見られず、患者・家族支援協会で代表理事を務める中井宏氏は「脳脊髄液の漏出という概念が新しく、研究班のメンバーの多くが疾患自体の否定派若しくは無関心派であることが原因」と指摘しています(2008/02/14 20:00 キャリアブレイン)。
◆2008年3月27日補足
1 「事故で髄液漏れ」 横浜地裁、治療費支払い命令--4例目判決(毎日新聞 2008年3月5日 東京夕刊)
上記記事では、判決理由等の詳細は不明ですが、「事故後に症状を生じさせるような出来事があった証拠はない」ことを一つの理由としています。交通事故と脳脊髄液減少症との因果関係を認めた4例目としています。
2 各県のホームページに、脳脊髄液減少症に理解のある医療機関の情報を発信していますが、北海道のホームページには掲載されていないようです。北海道内では、小樽の市立小樽第二病院の高橋明弘先生がブラッドパッチなどの治療を実践しているとの情報もあります。
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コメント
ご存知かもしれませんが、
研究はとある事情により、まったく進んでいないようです。
投稿: ゆめ | 2007年12月25日 (火) 11時22分